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冬枯れの韓国

冬枯れの韓国


韓国に初めて旅行したのは1990年代の初め、
寒い冬のことでした。
その頃は、まだビザの申請をしなければなりませんでした。

迎えに来た韓国人の友人と夕暮れの高速を大邸まで引き
返した時のこと。
爆走する車窓から延々と続く道路の先に見えたのは、
冬枯れの景色でした。

たそがれの空に葉を落とした木々の先がシルエットを作り、
まるで黒いレースのように繊細でエレガントな風景でした。

何千年も前から彼らはこんな風景を見ながら脈々とこの地で
暮らしを営んできたんですね。
当たり前のことですが、これが大陸の風景なんだ、と強く感じ入りました。

友人は、学生ながら通訳で雇われていたほどですから、日本語が
堪能な人でしたが、車内での会話は少なく、おかげでキレイな景色に
見入ることができました。

すでに、他の国もあちこち行ってはみましたが、韓国ほど、胸にぐっと
来る国はなかったんです。

当時の印象ですが、
街は、地味で暗くて重くて激しくて独特の臭い。
でも、人々は底抜けに明るくてストレートで優しい。
食べ物は安くておいしい。
活気に満ちた市場、暖かい旅館の部屋の中、そして燃えるような色のお布団。

このメリハリが 心地よくて韓国旅行がやみつきになりました。

おそらくあの年頃の感傷や興味とたまたま合致したと思います。
そしてあの時の韓国の冬枯れの景色が、私の韓国に対する心象風景に
なったと思います。

今では、韓国も堂々たる経済大国になり、昔の表情は一気に失われて
駅ビルもショッピングエリアも顔を変えてしまいました。
以前のメリハリも移り変わり、世界中どこにでもある近代都市へと
 どんどん変わりつつあります。

清潔でファッショナブルなのはいいけど、なんだか、韓国独特の
趣がはがされていくようで、なんとも寂しい感じがします。


きのこ



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