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戦前の朝鮮流行歌レコード

『放浪の唄』


(コロムビア27066/長谷川一郎=蔡奎燁)    

SPレコード

「船は港に 陽は西に いつも日暮れにゃ 帰るのに~」の歌い出しで始まるこの『放浪の唄』は、昭和7年にコロムビアから発売された 『アリランの唄』(別項で紹介)のB面です。編曲・作詞(作歌)は『アリランの唄』と同じ古賀政男と佐藤惣之助で、長谷川一郎(蔡奎燁)が独唱で吹き込んでいます。

「~泣けど 返らぬ青春の 熱い涙を なんとしょう」(2番)、「~春はつかの間 秋が来る 若いいのちの 悲しさよ」(3番)。ギターを基調にチェロ、バイオリン、ウクレレによる合奏で、長谷川が少したどたどしい日本語で歌っています。哀愁曲なのですが、どこかほのぼのとしたところがあります。

古賀政男編曲となっているので、『アリランの唄』のように「原曲」があるはず(レーベルには「朝鮮民謡」と表記)ですが、朴燦鎬著『韓国歌謡史1895-1945』によると、1931年(昭和6年)に朝鮮の女性歌手・姜石燕がコロムビア朝鮮譜の正月新譜で、この『放浪の唄』と同じメロディの『放浪歌』(パンランガ)を吹き込んでいるということです(同書150頁)。
SPレコード

ところで、コロムビア『放浪の唄』と同じメロディの曲が、戦前の東京・田端にあったレコード会社のオーゴン・レコードから、『放浪歌』(日本語曲)としてリリースされています。歌唱者は、ヒット曲『片瀬波』(昭和8年)で知られる松山時夫。レーベルには作詞・作曲者の記載がなく、「伴奏ハワイアンギタートリオ」とあるだけです。こちらはハワイアン調の曲で歌詞も異なっています。

オーゴン・レコードは第1回新譜を昭和7年に出しているので、オーゴンの『放浪歌』はそれ以降の発売であり、コロムビアの内地盤『放浪の唄』も昭和7年なので、姜石燕のコロムビア朝鮮盤『放浪歌』(昭和6年)が「原曲」ということになるのでしょうか。

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