fSvjXcAa9J3OA
Home > 投稿  > ふろあ (戦前の朝鮮流行歌レコード)

戦前の朝鮮流行歌レコード

『あだなさけ』


     (ビクター52419/李アリス)

SPレコード 「朝鮮の風景と情緒を、優しい旋律にのせて 巧者な李アリスさんと可愛いゝ姜石燕さん」。

レコード袋(スリーブ)に記されている文句です。袋(①写真=部分)には、当時ビクターレコードの専属だった朝鮮の女性歌手、李アリスの写真が印刷されています。

(クリックで拡大)
SPレコード 戦前の日本ビクターでは、専属芸術家の写真および、レコード名と番号をレコード袋に印刷していました。

李アリス(②写真)が、内地のレコード界でも活躍していたことを示す資料のひとつだと思います。

(クリックで拡大)
SPレコード 『あだなさけ』(③写真)は、彼女が昭和7年にビクターから日本語で吹き込んだ曲です。全壽麟の曲に、西條八十が詞を付けました。レコード吹き込みのいきさつについては、蔡奎燁の『술은 눈물일가 한숨이랄가』(酒は涙か溜息か)の項目で述べたので、ここでは省略します。

『あだなさけ』を聴いてみると、李は繊細で憂いのある歌声で、全壽麟の哀愁のある曲にマッチしています。同曲のB面は姜石燕の歌唱『いとしきけむり』で、こちらは李とは対照的で、明るく溌剌とした伸びやかな歌唱です。

歌詞カードには、「・・・・李アリス・姜石燕両嬢は朝鮮に於ける一流の歌手であって、且つ当社の専属芸術家であります」と記載があるので、当時すでに朝鮮で実績があった歌手であったことが窺われます。(なお、李は昭和7年に李愛利秀の名義で、『荒城の跡』という朝鮮語曲をヒットさせたといわれています)。

(クリックで拡大)
SPレコード 『あだなさけ』の発売は好評であったようで、ビクターではほどなく、日本ビクター・ジャズバンドの演奏によるフオックス・トロット(ジャズ風のダンス音楽)の軽音楽盤をリリースしています(④写真)。

これは、京城府の新民謡『大京城行進曲』(中山晋平作曲)のB面に入っているもので、アレンジはビクター文芸部が担当しています。 『あだなさけ』以降、李は昭和8年にビクターで『月のゆくへ』、『去りし夢』の日本語曲を吹き込んでいます。ともに作詞は西條八十、作曲は全壽麟です。

ふろあ


ふろあ (戦前の朝鮮流行歌レコード)
Home . 釜山旅行の基本情報 . 人物 . 歴史 . 乗り物 . 交通史 . 名所・旧跡 . 釜山の街角風景
. 街角風景2 . 釜山の街角今昔 . 街角今昔2 . 食べた物 . 昔の生活と文化 . 戦前の絵葉書