fSvjXcAa9J3OA

映画「西便制」で見る恨(ハン)

韓国は自らを恨(ハン)の国であると称します。

これを日本式の恨(うらみ)と呼ぶと誤解することになります。

韓国や中国では「恨」は深い悲しみと言う意味になるのです。
悲しみを乗り越えることに価値観を見出しているようです。

中国の古典で「長恨歌」とうのがあります。唐の玄宗が
楊貴妃を深く愛し国を滅ぼす事になったが彼女を失った
悲しみのほうが勝るとする深い悲しみを「恨」と呼んで
白楽天が創り、後世に残る漢詩となっているのです。

この映画はパンソリという浪曲のような韓国の伝統歌謡を
謡い、各地を旅する女盲人の話です。

彼女の父、弟の3人で各地を旅してパンソリを謡う生活でした。
父はパンソリを極めることだけを考えて厳しい修行を子供に
課したのです。

パンソリの伴奏である太鼓(チャンゴ)叩きの弟は耐え切れず。
ある日、親を捨てて出て行ってしまいます。

明るく元気な彼女の歌には「恨」が足らないといって毒薬を飲まして盲人にするのです。
光を失った彼女の悲しみで、歌に「恨」が生まれたのです。

年月が流れて ある地方で 別れた弟が名乗らないで彼女にパンソリをリクエストし
彼が太鼓で伴奏をするのです。

眼は見えなくても太鼓の調子で弟だと彼女は分かり、「恨」をこめたパンソリは
冴えて来ます。

終わったとき二人とも他人の振りのまま 別の方向に向かうのです。

 

何故 弟は名乗らないのか?再会は嬉しくないのか?
子に逃げられた父親が娘は逃がさない為に眼を潰したのでは?

強い疑問で友人の韓国人に問い詰めたのですが・・・

これが「恨」だから仕方がない との返事でした。

上は韓国 下に日本 この映画の日韓のパンフレットを
出しました。ここにも大きな差を感じると思います。

上は光を失った深い悲しみの彼女と厳格な父親
下は光の中で明るく自然の恵みを歌い上げる彼女

いろいろ考えさせてくれる名作であることは確かです。
日韓の心の底の部分の共通点、そして大きな差を
感じさせる映画だと思いました。

続編ができました。


Home . 考えている事